また「またね」
僕の希望だった「いつか」は
想像以上に早く訪れてしまった。
それはとても皮肉な再会で。
「久しぶり…」一体何があった?
どうしたんだよ、何だよその瞳…
「あれからどれ位経ったけ?何年?
お前は変わってないな、
この場所も全部あの頃のままだな。
なんか懐かしいよ。」か細い声。
「俺は…今の俺は…」
何も言うな。言葉なんて要らない。
一目見て全て悟った。
命からがら辿り着いたんだと。
生気を失った曇った瞳に、
完全に分離した君の魂と肉体。
こんなに傷だらけになって…。ここまで弱った君を見たのは初めてだった。
「俺はもう、終わりかもしれない。」
何度もその頬を殴った。
しっかりしろ、目を覚ませよ。
こんな君の未来の為にあの時、
決死の思いで手を離したんじゃない。
君が笑っていてくれなくちゃ、
君が幸せでいてくれなくちゃ、
必死に不在に耐えた僕は何だったんだ?
まるで君の堕落に加担したみたいだ。
「俺の指、噛みちぎってよ。」
完璧に麻痺した虚ろな表情の君に、
生命を吹き込む様に、血の滲むまで。
「痛てっ。」笑った。「痛ぇよ。」
「何でお前が泣いてんだよ?」
君はあの頃みたいに笑った。
だって、君が泣けないのを知ってる。
そんな顔されたら堪えられずに溢れた。
生き抜こう。生きるんだ。
勝手に死なせたりするもんか。
泣きたくなったら帰って来いよ。
君と僕は別々のRPGをあの日選んだ。
もう共には歩けないのはお互い承知。
ただ今日だけは…対した会話もせず。
烏龍茶って美味いな、なんて。
あの頃みたいに笑い合った。
残酷な朝と現実が君を待ち受けていた。「ありがとうな…」
別れ際に君らしくない優しい言葉。
馬鹿野郎。世界中が敵になっても、
僕が君を守ってやる。絶対に。
「何があっても味方だ。忘れるなよ。」君の魂が弱ると波動で伝わってくる。
僕らはもうはぐれたりしない。
あの頃の様に毎日一緒じゃなくても、
お互いの心が共鳴しあっているんだ。
傷付いた戦士を再び戦場に見送った。
いつか、海に行こう。
僕達にしか見られない景色を。
その日を描いて、戦い続けるよ。
また生存確認する、いつかまで、
君は立ち上がれると信じている。
僕も恥じない自分を生きるよ。
「またね。」
「またね。」
この絆こそが宝物だと痛感したから、
人生という旅の価値を知らされた。
地図なき道の果ての再会を祈り、
君も僕も、また歩き出す。
僕らは運命共同体だ。
君の背中が見えなくなってから、僕はやっぱり泣いてしまったけれどね。
(2014.June)
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