パンドラの箱

その箱は決して開けてはならないよ。
開けても良い事は何も無いのだから。
この箱に出会わなかったフリをして、
上手に通り過ぎなさい。それが最善。
分かっていても、分かっているから、
余計に見たくて見たくてたまらない。
中に一体何が?その好奇心が命取り。
きっと、ありとあらゆる後悔が注ぐ。
ギリシャ神話も、現世も変わらない。
人間とはとても愚かで哀しい生き物。
いつだって理想ばかりを夢見て歩き、
遠のく様な現実に身を投じてしまう。
悪魔も呪いも、自分の弱い心の産物。
罪を犯し続け人を傷付け、心を蝕む。
良心の呵責、善悪の思い込み。幻想。
不正解の石ころばかりにつまづいて。
それでも魂はいつだって立ち上がる。
底無き沼にハマってもあがいている。

パンドラの箱の話には続きがあって、
主人公が急いでフタを閉めたために、
残ったもの、人類に残されたものが、
たった一つだけあったそうです。
そう、それは「希望」なんです。
だから今もこの地球は存在している。
こんな私もまだ未来を見つめている。
いつだって生きる価値があると信じ、
何が起こっても、愛さえ見失っても、
前に。明日へ、自分を連れて行って。
未来にまた絶望や失望が待ってても、
喜びや幸福だって、手を広げている。
生き抜く事。いつでも息をし続けて。
沢山の事を赦して赦されて微笑んで。
あなたが描く以上のあなたを生きて。
あの箱を開けた事で希望と出逢えた。
悪くない。この世界には希望が在る。
生き抜ける自分をいつも信じ続けて。

(2014.May)

0コメント

  • 1000 / 1000