君だったり僕だったり
「小さな過ち、大きな後悔、深い反省…背負いつつもリセットするんだ…」
独り言の様に唱える君に相槌を打つ。
青白い君の肌と血管が月明かりに透かされて見えた。
「僕は人が思っているより脆くもないし、図太くもない、僕は僕が思っているよりも情け無いし、誇り高い…」
虚ろな瞳と強い意志が交差して、
いつも通り途方に暮れる僕らだ。
「誰が裁けるんだ、悔いたのは感覚でしかないのに、誰も傷付けてはいないし、悲しませるつもりもなく、僕だけが闇を増やしただけの事なのに。言語不明な説教が聞こえてくるんだよ…」
落ち着けと言えない位、冷静な口調。
思い切り泣けたら良いのになと言葉にしても、泣いたところでちっとも楽になりはしないから、僕等は無駄な体力は温存する派だ。
「あんな見せかけの優しさに寄り掛かった魂の弱さが諸悪の根源なんだ。でもこんな自己嫌悪に苛まれても学べやしない…」
長い溜息の後に長い深呼吸。
「何も要らないと思った後に、ありきたりなものを求めてしまう矛盾なんて一生抱えていくもんだろ?何に対しての答えが欲しいんだろうか…」
安定している波動に、恐怖を覚える様な大人になってしまった。
二人は一人になったりする。
一人は二人になったりする。
今夜も長い夜と尽きない言の葉達。
謎解きなんかは明日にしよう。
いつだって今日は嘆く日で良い。
君だったり僕だったり、
僕だったり君だったり、
もう二度と消えたりはしないから。
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