ポケットに石ころ
あれから沢山の、沢山を失った
手にしていたと思い込んでいた夢も情熱も人間関係も安定も志も
まっさらどころかまっさお
もうなんもなくなった
もうだれもいやしない
孤独の海に沈んで慰め方も忘れた頃
ポケットに入っている何かの音が僕を呼ぶ様に不自然に鳴った
なんだ、ただの石ころじゃないか…
あれ?お前…
あの時、僕が見つけて拾った石ころ
ずっとここに?
同化する程強く握り締め泣き叫んだ
どっか行けよ、どっか行けよ、
なんでお前だけはいてくれんだよ
ごめん、ごめんな
太陽にかざした石ころが
水晶なのかダイヤモンドなのか
もう世界一輝いて見えた
ポケットの中の愛をまた握り締めて
泥んこの街で戦えそうな気がした
0コメント