はちまるいち

急ぎ足で帰って来る君の姿を見て
窓際の私は幸せを噛み締めていた
雨に濡れても雪に降られても
笑顔でただいまを言ってくれた

暗くて狭くて何もなかったけれど
まるで地上の天国の様に感じられた

後悔しないわけなんてないでしょ
それでも鍵を掛けて背を向けなくては
証さえ残せなかった

消えてないって君にも分かるよね
小さな小さな小さな小箱にして
まだこの胸の中に在るんだよ
いつまでもなくなったりしないよ

思い出して
守りたかったから離れた事を
傷付け合いながらも築いてきた事を

目を瞑れば触れられる
大切な二人だけの空間に帰れる

ごめんねもありがとうも言わないよ
愛してるもさようならも言えなくて

この手はまだ君を抱き締めてあげられるのだろうか
もし君がまだ絶望の雨の中で震えているのなら…

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