大都会の塵

空っぽな愛の歌ばかり溢れている。
愛みたいなものも転がっている。
造られた価値の無い涙。
愛想笑いを大量生産する術を教わる。

交差点の中で時を止めた輝く天使も
気付けば顔を無くし群衆に紛れる。

この街には全てがある様に見えて、
この街には何一つない様に視える。
生きる為だけに生きている人々。
生きる意味を考える暇も与えられず。

己の保身だけでは何も守れずとも、
時計の秒針は年々速くなる一方だ。

居場所なのか逃げ場所なのか
味方なのか敵なのかさえ判断が曇る。
信じる分だけ傷は深くなりゆくが
疑うばかりでは明日も見えない。

幻想という名の希望は歩みを止めず
見失って、見送っては、また探す。
探しながら見つけて、と強く願う。
ここにいるよ、と塵は叫んでいる。

何故そんなに簡単に変われる?
描いた未来を勝手に捨てれる?
言葉だけを吐き捨て立ち去る?

終焉の鐘は鳴ったが最期、戻れない。

また再生の扉が目の前に現れた。
鍵穴は受け容れてくれるだろうか。
もう失うものは無い。選択肢は無い。

一人飛び込む新しい世界に祈りを。
行くしかない。
生くしかない。

このまま消えて逝かない様に。
このまま埋れて腐らない様に。
いつか全てを笑える日まで
時代を受け止める覚悟は出来たか。

燃えさかっていた炎もいつからか
微かな灯火になりつつ。
それでも鎮火させやしない。
必ずその時は訪れる。

塵自身が大都会を選び直した。
本当の自分を探し続けていく為。

何もかもを肯定する必要はなくとも
愛すべき過去を赦す為。
もう一度、何度でも、信じ続けよう。

(2013.December)

M's tail

in side my soul...

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