木っ端微塵

夢を愛し過ぎて
愛を夢見過ぎて
灰に近付いた季節
痛みでも欲した証

君は僕であり、僕は君だったんだ
この世に存在しない色を見せたり
この視力さえも奪ってくれてみた
戦国時代にタイムスリップしたら
君はきっと素晴らしい武将だよと
いつも通りの笑顔で、悪くないと

記憶の中の君は息を潜めて街を歩き
時折、雷の様に全てを破壊している
とても優雅でしなやかで見惚れる程
激しく叫んでは、怒りを撒き散らし
泣きじゃくって、それらを回収する
何がしたかったのかなんて
何処に行きたかったなんて
二人とも知らずにいた季節

粉々、バラバラ、散り散り
サラサラと流れて緩やかに
木漏れ日の中に君を見たよ
また春が来たんだ、春がさ
僕らを迎えに、追い出しに
君の幸せを祈り、不幸を願う
薄情で寂しがりやの僕はまだ
取り戻せない形を抱えている

笑わせてくれた
泣かせてくれた
与え続けて奪い、
謎だけを永遠に残し華麗に
もう一度君を探す旅に出る支度をして
僕は逆走する、全速力で未来へと

あの頃の秘密基地にも
優しい歌を咲かせよう

こんな感じで良いかい?
こんな今を許せるかい?
滑稽な夜が僕を少年にする
無情な朝が僕を大人にする
体温は失われ、降り出す雨

木っ端微塵、鮮やかな敗北
木っ端微塵、淡い薫りに泪
木っ端微塵、闇みたいな光

(2014.April)

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